こんにちは、物理学科のしば(@akahire2014)です。
僕は大学で物理学を専攻しています。
物理学専攻では必ず量子力学という分野を学ぶのですが、量子力学の世界では不思議な事ばかり起こります。
量子力学はめっちゃ面白いです。
しかし量子力学の不思議な現象をスピリチャアルなことに結びつけて金儲けしている輩がネット上に溢れているのを観測しました。
どうやら「引き寄せの法則」というものと量子力学を無理やりに結びつけているみたいです。
スピリチャルなことを否定する気はありませんが、科学を誤解させる形で使うのは如何なものかと。
ということで、引き寄せの法則で使われている間違った量子力学を物理学科の僕が暴露して、息の根を止めたいと思います。
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引き寄せの法則とは?
量子力学と不確定性原理の簡単な説明
引き寄せの法則の前に簡単に量子力学の説明をします。
量子力学というのはこの世の最小単位である素粒子くらいの大きさを扱う学問のことです。量子コンピューターが最近有名になってきているので、言葉だけでも聞いたことはあるかもしれません。

そして「量子力学が引き寄せの法則の根拠である」と主張する人たちの根拠でよく上げあられるのが、「不確定性原理」というものです。
不確定原理には実は2種類あるんですが、彼らが根拠としている不確定性原理は「位置xと運動量pは同時には決まらない」というものです。
運動量pというのは物質の質量をm、速度をvとした時に
と書くことができます。要するに勢いみたいなもんです。
量子力学の世界では「位置xこの運動量pが同時に決まらない」という不確定性原理というものがあります。
現実の世界では、人の走っている位置xと速さvは同時に決めることが可能ですよね?
しかし量子力学の世界ではこれを同時に決めることができません。

つまり、物質のいる位置や速度というのは量子力学の世界に行ってしまうと曖昧になってしまいます。
これが量子力学における不確定性原理です。
- 位置と運動量が同時に決まらないのが不確定性原理
引き寄せの法則
量子力学を引き寄せの法則の根拠として使う人たちの餌食になっているのはこの不確定性原理です。
彼らは
「位置も速度も決まらないのだから、宇宙の未来は人間の意識によって決定される」
という謎理論を唱えています。そこから、胡散臭い話を展開して金儲けしているのでしょう。騙される方も騙される方ですが。。。。
引き寄せの法則の何が間違っているのか?
- 人間の意識が特別視されすぎている
不確定性原理があるからといって、人間の意識した通りに物事が動くなんてことはありえません。
スピリチュアルな¥な彼らの一番面白いところですが、「自然が不確定なのに”自然の一部である人間の意識”が不確定な物事を決定できる」と思っています。
なんで不確定な自然の振る舞いを人間の意識によって確定させることができるんだっていう。
- 不確定性原理は日常では成り立たない
不確定性原理が成り立つのは(正確には効果がわかるくらいのスケールは)量子力学くらい小さい世界だけです。
不確定性原理は数式で書くと
と書きますというのはプランク定数という値の決まった、ただの数です。
つまり「位置と運動量はどんなに頑張っても」以上の不確かさがある」ということです。
量子力学の世界はかなりミクロな世界なのでこの不確定性原理の効果が現れるのですが、我々の世界はマクロな世界なので不確定性原理の効果なんか消し飛んでしまいます。
量子力学の世界は大雑把に
以下くらいのスケールです。
それに比べるとマクロな世界というのはもともとが馬鹿でかいので、そもそも不確定なんです。そのため不確定性原理が目に見えて現れるということは起きません。
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最後に
量子力学は不思議で面白い世界です。
それだけにスピリチュアルな人たちに悪用されているのが、悲しくてこの記事を書きました。
偽の科学の情報に騙されず正しく科学を楽しみましょう!!
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