こんにちは、物理学科のしば(@akahire2014)です。
「量子力学という言葉を聞いて、興味をもったけど難しすぎてよくわからない.。簡単に説明してほしい」というあなたに大学で量子力学に関連する研究をしている僕が量子力学を簡単に説明します。
量子とは?
量子とは、「この世の最小単位」の事を言います。原子が一番小さいと考えられていた時代には「原子=量子」と考えれらていました。
しかし科学が発展するにつれて、もっともっと小さい単位が見つかってきました。
電子が量子であると聞くとびっくりするかもしれないですが、電子も量子です。有名な量子をざっとあげると
- 電子(電気のやつ)
- 光子(光のこと)
- ニュートリノ(スーパーカミオカンデのやつ)
があります。名前だけでも聞いたことがあるかもしれません。大きさがどれくらいかというと、1m定規の1000000000000000分の1です。つまり10-15mほど

1m定規を1~1000兆回ほど切り刻んだ大きさが量子力学で取り扱う大きさになっています。
量子の性質
量子のもっとも奇妙で基本的な性質として、「粒であり確率の波である」という考えがあります。
粒子性
常識的に考えると、物質はある時間には同じ場所にしか存在しません。物質を切り刻んで最後に出てくるものを見てみると粒になっているはずです。
電子はもともと粒であると考えられていました。
波動性
しかし、量子は粒であると同時に波でもあるのです。どんな波かというと、確率の波です。量子は観測されない限り、確率の波として存在して、宇宙空間のどこにでもいる確率を持っています。
そして観測すると確率の波は収束して、ある一点に収束する(つまり粒になる)と考えられています。
この量子の粒子性と波動性の考え方は二重スリットの実験というものから考え出されました。

もし二重スリットの実験についてあなたが興味があれば、こちらの記事を参考にしてみてください。初心者の人でもわかりやすいように解説しています。
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不確定性原理
この不確定性原理は、位置と運動量を同時に正確に決めることはできないというものです。式にすると以下のようになります。
は位置の不確かさを表しています。
は運動量の不確かさを表しています。運動量というのは速度に質量を掛け算した、勢いみたいなものです。
というのが気になるかと思いますが、これはただの決まった数(定数)です。
この関係は「こちらを立てるとあちらが立たず」な関係になっています。つまり粒子の運動量を正確に測定しようとすると、位置が曖昧になり。位置を正確に測定しようとすると運動量が曖昧になるのです。
不確定性原理と聞くと、難しそうに聞こえますが、式変形してあげるとただの反比例の式になっていることがわかります。

僕やあなたの住む日常の世界では、位置と運動量は正確に決めることができます。
位置と運動量 | |
---|---|
常識 | 同時に決めることができる |
量子力学 | 同時に決めれない |
シュレーディンガー方程式
あなたが高校で物理を習ったことがある方なら、運動方程式というものを知っているはずです。
もし知らなくても大丈夫で簡単に言うと「物体の最初の位置と速度さえわかれば、あとは運動方程式を解いたら、その物体の動きが未来永劫わかる」というものです。
数式で書くと
日本語で言うと
です。シンプルですね。
しかし量子力学の世界ではこの運動方程式は成り立ちません。そこで運動方程式の代わりとなるものが、シュレディンガー方程式と呼ばれるものです。

この方程式を解くことで量子力学の世界の動きがわかります。ちゃんと解けるものはそんなにないのですが、シュレディンガー方程式を解くことで水素原子が解けたりします。
最後に
今回の記事で書いたことを簡単にまとめておきます。
- 量子には電子、光子、ニュートリノなどがある
- 量子力学は10^-15mくらいの世界
- 量子は波であり、粒である
- 量子は位置と運動量を同時に決めれない(不確定性原理)
- 量子力学では運動方程式の代わりにシュレディンガーを使う
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