こんにちは!物理学科のしば(@akahire2014)です。
量子力学の有名な話の中に「シュレディンガーの猫」というものがあります。
とても面白い話なので、知らない方が雰囲気だけでも理解できるように解説していきたいと思います。
シュレディンガーの猫とは?
考えられた背景
もともとシュレディンガーの猫は、2重スリットの実験で出てきた主張である「電子(量子)は確率の波として振る舞う。すべての状態は可能性として存在していて、それを決定するのは人間の観測である」(ノイマン・ウィグナー理論)という考えを否定するために考えられたシュレディンガーという人の思考実験です。
思考実験とは実際に実験するわけでなく、頭の中だけでのシミュレーションのことを言います。
シュレーディンガーの猫を理解するためには、電子の波動性について知らないとわけわかんないと思うので、「全く知らないよ!」って方はこの記事を参考にしてみてください
この記事もどうぞ!
ちなみにシュレディンガーは量子力学を中心とした理論物理学者で、シュレディンガー方程式やシュレディンガー描像の功績を残しています。また1933年にはノーベル物理学賞も受賞している天才です。

シュレディンガー方程式は、古典力学でいう運動方程式みたいなものでめちゃくちゃ重要なものです。これで水素原子の波動関数が解けたりします!
- コペンハーゲン解釈のアンチテーゼとしてのシュレーディンガーの猫
- 思考実験は頭の中のシミュレーション
- シュレディンガーはめちゃすごい物理学者
シュレーディンガーの猫の内容
それでは実際の思考実験の内容を解説していきます。まず箱の中に以下の画像のような装置を組み立ててみます。

元画像:wikipwdia
画像をみると概要は掴めると思います。それぞれの役割について解説していきます。
まず放射線源ですが、もちろん放射線を出します。放射線を出す過程は量子力学的な過程であることが知られています。そしてこの思考実験の中では放射線を出す確率を50%であると仮定しておきます。
放射線が放出されると放射線観測機(ガイガーカウンター)が動いてハンマーを動かします。
ハンマーが動くと毒ガス入りの瓶が割れ、猫が死んでしまいます。
ここが重要なのですが、猫が死ぬかどうかは放射線が出るかどうかによって決まっています。そして放射線が出るかどうかは量子力学の世界なので観測するまでわかりません。
つまり人間が箱の蓋を開けて観測するまでは「猫は死んでいるし、生きている」のです!
箱の中身をみる前 | 箱の中身を見た時 | |
---|---|---|
常識 | 死んでいるか生きているかは人間が観測しなくても決まっている | 決まってたものを見ただけ |
量子力学 | 死んでいるか生きているか決まっていない | 人間が見て初めて生きているか死んでるかが決定する |
シュレディンガーの主張
「こんな理論おかしいでしょ?」となりますよね?
シュレーディンガーの猫の思考実験を提案して、シュレーディンガーは「人間の観測によって自然の状態が決まる」というノイマン・ウィグナー理論を批判しました。
ですが、この問題の真相は未だにはっきりとしていません。
ぼくの考えたこと
ここからはSFチックなので、間違いだらけだと思います。話半分に読んでください
この思考実験の中では「人間が特別な存在として扱われていることのおかしさ」を批判しています。「人間の意識や自我といった超越的なもの」が自然に影響を与えるなんておかしな話だとぼくも思っています。
そもそも、「人間にもこの量子力学って適応されていて、僕たち自身も確率的な重ね合わせとして存在してるんじゃないのか?」と思いました。
つまり、私たちも箱の中にいて確率的に揺らいでいるのではないか?一つ一つの可能性は別の世界としてパラレルワールドのように分岐しているのではないか?と
こんな考え方をした人が昔にもいて、当時プリンストン大学にいたヒュー・エヴェレットという大学院生です。そしてこの考え方をエヴァレットの多世界解釈と言います。
SFチックですが、私たちも地球という箱に閉じ込められていて生きている状態と死んでいる状態が重なり合っているのかもしれませんね。
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